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ジョーズ・イン・ツナミ

ジョーズ・イン・ツナミ

2009年 アメリカ テレビ映画
脚本: キース・ショー
監督: デビッド・リスター
キャスト: ペータ・ウイルソン、ウォーレン・クリスティ、シャーラン・シモンズ、ソーニャ・サロマ、ジェフ・ガンロンド、ほか
登場するサメ: ミツクリザメ、ホオジロザメ





ジョーズ・イン・ツナミ 映画予告:

※以下本文中、ネタバレ必至です。
 これから映画をお楽しみになるつもりの方は閲覧ご遠慮下さい。

この「ジョーズ・イン・ツナミ」は2009年にアメリカで放送されたテレビ映画です。
原題は「Malibu Shark Attack」で、こちらのほうが直接的な印象がありますね。
もしこれが東日本大震災より以後の作品だったら、安易に「ツナミ」なんて単語は使ってないとは思いますが。

ストーリーはおおまかには以下のとおりです。

カリフォルニアの平和な海岸では海水浴を楽しむ客で溢れていた。
しかし海底で地震が発生し、その影響で深海に住むサメがいっぱい浮上してきて人々を襲い始める。

サメの存在を知ったライフセイバー達だったが、その刹那に海底地震による大津波が発生。
30メートル級の大津波が海岸に押し寄せて彼らは海岸の監視小屋に取り残されてしまう。
孤立した彼らにサメたちは容赦なく襲い掛かる。

心配して恋人がボートで救助にやってきたが、岸に向かう途中でボートは燃料切れになってしまい、
しばらく漂流した後、恋人の仕事場の建物に彼らは流れ着く。
しかしサメが現れ、そこさえも安息の地ではなかった。

建物の中で武器を手に入れた彼らはサメに打ち勝つ。
無事に救助を呼ぶことができてハッピーエンド。

へザー
へザー
(ペータ・ウィルソン)
チャべス
チャべス
(ウォーレン・クリスティ)
コリン
コリン
(ジェフ・ガンロン)
ダッグス
ダッグス
(レミ・ブロードウェイ)
ジェミー
ジェミー
(シャーラン・シモンズ)
バーバラ
バーバラ
(ソーニャ・サロマ)

○映画そのものの感想

ジョーズ・イン・ツナミ ジョーズ・イン・ツナミ

だいぶひどいです。
もう脚本も演出も何もかも。

津波災害で孤立してしまったところにサメの襲撃があるっていう設定は別にいいですが、
肝心の津波もサメも理不尽な点が多過ぎて物語に入り込んでいけません。
見てる側をゲンナリさせるウソが散りばめられ過ぎです。

サメについては後の項で詳しく書いてますが、
ミツクリザメの生態を全然調べないままでテキトーに脚本書いてるのが明白です。
サメが主役の映画なのに、そのへんの下調べが全くされてないってどういうことだ(怒)

もっとひどいのが津波の描写。
ものすごい大津波が浜のすぐそこまできてるっていう描写のCGを見せたあとに、
次のシーンの人々が逃げ惑うカットで映り込んでいる海は極めて穏やか。
「津波はすぐ近くまで来てるの?それともまだ遠くなの?」っていうのがよくわからない時間が長く、
見ているこっちはどこまで緊張していいのやら分からず非常に気持ち悪いです。

ジョーズ・イン・ツナミ ジョーズ・イン・ツナミ
↑船をも飲み込みそうな大津波襲来!(左)と、 その直後の穏やかな海(右)

いざ津波が到達してからもおかしな部分満載。
主人公達が逃げ込んだ監視小屋(2階建てのショボい木造建築)は
30メートルの大津波に対してほぼ無傷という神懸り的な耐久力をみせます。
2階建ての小屋なんて高さ6メートルぐらいしかないのに、なぜか窓からは水しぶきが多少入ってくる程度。
どういう構造してるんだこの小屋(笑)

大津波が過ぎた後は、小屋は2階部分でも膝が浸かるぐらいにまで水位が上がっています。
しかもビーチにあったこの小屋は完全に孤立していて、陸まではざっと400メートル。
よくそんな内陸部まで届くような巨大な波に耐えたなと再び小屋の頑丈さに感心するところですが、
400メートル孤立ってアンタ、このへんの建物の立地状況はいったいどうなってたんだ。
この2階建てのほったて小屋より高い建造物、まわりに1個もなかったんかい(笑)

さらにいうと、津波って一時的に水が押し寄せるだけなんで時間が経てば水は引くはずなんですが、
この作品ではなぜか水が全く引きませんし、水の流れすら感じません。
津波が来たというよりは、海の水位がいきなりズイーッと上がったような感じになってます。
この映画、もしかして海を見たことがない人だけで撮ったんじゃないか。


登場人物の行動もかなり不可解。
ミツクリザメを生かすか殺すかの議論に花を咲かせて津波のことをすっかり忘れて逃げ遅れるし(有り得るソレ?)、
サメが全部で何匹いるかもわかんないのに、篭城して6発しかない限りある銃弾で1匹ずつおびき出して倒そうとするし、
さっさと安全な屋根の上に逃げればいいのにいつまでも部屋の中にいるし、
助けを呼ぶための照明弾を、それほどピンチでもないのにあっさりサメに対して使っちゃうし、
サメがジャンプできるのわかってるのに背の低いボートに乗ったり、沈んだ車の中に逃げ込んだりするし、
ヒロインは命をかけて助けにきた今カレが頑張っているときに、元カレとイチャイチャしてるし(笑)


演出面もホント意味がわからず。
人々がビーチで楽しく遊んでいるカットとサメが水中を泳ぐカットが細かく交互に入ります。
別に襲われるシーンでもなんでもないのに、しつこいぐらいに何度も何度も。
小屋で孤立しているときも同様で、室内の登場人物のカットとサメのカットが細かく繰り返されます。
おかげで会話の内容はなかなか展開しないし、慢性的にサメを見せられるせいで緊迫感も緊張感もなくなるしで、
モンスターパニック映画としては最低のクソ構成だと思います。
何の意図があってこんな構成にしてんだろ?

サメに殺されるシーンはちゃんと見せないくせに、
女の子の太ももの傷を縫合するシーンは妙に生々しく尺をとって撮影しているのもナゾ。
なぜそこピックアップなんだ・・・。

そして一番エエーッ!って思ったのはラストの決着シーン。
こういったモンスターパニック映画って、大体最後は爆弾でド派手にボーンってのが多いんですが、
この監督、最後までやってくれます。
なんと最後の決着はサメをみんなで囲んでリンチです。
誘い込んだサメに仕掛けを倒して動けなくしたあと、メンバー5人全員がチェーンソーやモリを使ってサメをザクザク。
サメは阿鼻叫喚、ものすごい叫び声をあげながらもがき苦しみ暴れます。
メンバーは鬼の形相でサメを切り刻み続け、その顔には大量のサメの返り血が。
お母さん、違った意味で怖いよこの映画。゚(゚´Д`゚)゚。


サメが足に食いつきそうになるシーンとか、不意打ちで桟橋の男が食われるシーンなんかは好きだったんですけどねぇ。
あ、あと後半の夜の建物内の雰囲気もまぁまぁいい感じ。
でもホントそれだけの映画だったなぁ。
うーん、残念。

ジョーズ・イン・ツナミ ジョーズ・イン・ツナミ
↑サメに食われる前に屋根に逃げるの図(左)と、桟橋でジャンプしてきたサメに食われる男(右)

○登場するサメについて

主役となるサメはミツクリザメです。
英名はゴブリンシャーク。

認知度が極めて低いこのミツクリザメをチョイスしてくるのはサメ映画としては珍しいですね。
まぁ、ヒール役として仕立てるには都合が良さそうな顔立ちのサメではありますが。

ただしこの映画にでてくるミツクリザメの設定はムチャクチャです。
サメを見た生物学者のバーバラが興奮して、
「絶滅したはずのミツクリザメよ!」なんて騒いでいますが、絶滅してませんこのサメ。
東京湾や駿河湾の海溝なんかに普通にいます。
深海に生息していてその生態があまり解明されていないってだけで、特に絶滅危惧がされているわけでもありません。
よくもまぁ堂々と事実をねじまげたもんですね。

あとこんなに獰猛なサメではないです。
基本的に中型魚やイカなどを食べていて、人間はもちろん、冒頭シーンみたいにホオジロザメを襲ったりすることもありません。
劇中でずっとアゴが飛び出たままですけど、実際は獲物を捕らえる瞬間しかにアゴは飛び出ませんしね。

あと頭突きで監視小屋の床をブチ抜いたり、金属のシャッターを破壊したりしてますが、
実際はミツクリザメの頭部の角は固くないので攻撃には向いていません。
海面より上へのジャンプもしません多分、尾びれの構造的に。

「これがミツクリザメかぁ」と思って映画を見ると間違った知識を植えつけられます。
あくまで「深海からきたミツクリザメ似の新種の凶暴ザメ」だというつもりで見たほうが良いでしょう。








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